Image Credit: NASA/JHU-APLNASA/SwRI/Steve Gribben

2019年元日、NASA探査機ニュー・ホライズンズが史上最遠天体と遭遇!!

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2019年の元旦、1月1日に、太陽系の果てからビックニュースが届く。年始にして2019年の太陽系探査最大のイベントのひとつになるだろうビッグニュースだ。

探査機ニュー・ホライズンズ(New Horizons)によるカイパーベルト天体「アルティマ・スーリー」(UltimaThule)フライバイである。

耳慣れないカタカナ語ばかりで何のことだか分かりにくかったかもしれない。詳細はひとまず置いておいて、何がすごいかをまず簡単に説明しよう。

これが人工物が訪れた史上最遠の天体になるからだ。冥王星よりもさらに遠い。その距離、43.4 天文単位、65億 kmである。1 天文単位とは地球から太陽までの距離。43.4 天文単位とは光の速さでも片道6時間かかる距離である。探査機にモシモシと言ってハイハイと返事が来るまでに12時間だ。

ちなみにニュー・ホライズンズには冥王星発見者であるトンボーの遺灰が少量積まれている。史上最遠の宇宙葬でもある。

では、「ニュー・ホライズンズによるカイパーベルト天体『アルティマ・スーリー』フライバイ」という呪文のような文の意味を、一語づつ説明しよう。

ニュー・ホライズンズとはNASAの宇宙探査機で、2015年に史上初めて冥王星の近くを通過(フライバイ)し近接探査を行った。それまで冥王星は望遠鏡で見たボヤッとした姿しか分かっていなかった。ニュー・ホライズンズによる観測で初めて、大きなハート形の模様のある詳細な冥王星の様子が明らかになった。

<画像>左:ニュー・ホライズンズによる探査以前に人類が持っていた冥王星の最高画質の画像、右:ニュー・ホライズンズが捉えた冥王星。たった一度のフライバイで人類の冥王星観は一変した。Image: NASA/JHU-APL /SwRI

 

次に「カイパーベルト天体」について説明しよう。海王星軌道よりも外側に多数の小惑星があるエリアがあり、それを「カイパーベルト」と呼ぶ。カイパーベルト、略してKBOとはカイパーベルトにある小惑星のことだ。1992年にはじめて発見されて以降、現在までに千以上のKBOが発見されている。ハウメア、マケマケ、クワオアーといった冥王星に匹敵するサイズのKBOもいくつか見つかった。小惑星といえば火星と木星の間にある「小惑星帯(メイン・ベルト)」がよく知られるが、実はカイパーベルトにある小惑星の方がはるかに数が多い。(直径100 km以上のKBOがおよそ10万個も存在すると見積もられている。その大部分は未発見だ。)

Image: NASA/JHU-APL/SwRI

実は、2006年に冥王星が惑星から準惑星に「降格」したのも、急速に進んだKBOの発見のためだ。冥王星はとりわけ小さな惑星というよりも、とりわけ大きいKBOのひとつと分類した方が自然であることが分かったからである。

(その経緯はKBO発見の第一人者、Mike Brownによる著書”How I Killed Pluto and Why It Had it Coming”に詳しく書かれている。この本は研究者たちによる熾烈なKBO発見競争についても書かれていて非常に面白い。)

ここまで読めば、冒頭のカタカナ語だらけのニュースの意味もわかってきただろう。

アルティマ・スーリーとは、そんな数あるKBOのひとつである。直径30 kmほどで、赤っぽい色をしており、多くの小惑星のようにいびつな形だ。太陽を296年かけて廻っている。分かっているのはここまで。あまりに遠すぎて、それ以上のことは一切分かっていない。

そんな最果ての岩のかけらなど、我々地球人に縁もゆかりもないと思われるかもしれない。案外、そうでもないのだ。

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Image: NASA, ESA, SwRI, JHU/APL, and the New Horizons KBO Search Team

 

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