MITの学生新聞 “The Tech”に、一月ほど前、”Sex@MIT”という特集が組まれました。内容はご想像のとおり。特集は全部で10ページにも渡り、同性愛、アナル/オーラルセックス、レイプや玩具のことまで、包み隠さずにあけっぴろげに書かれているのがいかにもアメリカです。(紙面のPDF)
とりわけ面白かったのが、MITの学部生を対象に行ったアンケートの結果です。全体の40%、1,729人から得た回答をもとに、MITの学生がどんな性生活を送っているのかを浮き彫りにしています。(原文はここ)
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MITはドウテイが多い?
東大や東工大にはハタチにもなってドウテイを捨てられないオタクがうようよいるとの偏見がありますが、こちらでも「MITはセックスに興味がないオタクの巣窟だというステレオタイプ」があります。そしてアンケート結果によると、このステレオタイプはある程度事実のようです。アンケートに回答したMITの学部生のうち42%が、自分はバージンだと答えました。(英語では男性に対しても「バージン」という言葉を用います。)大学一年生の未経験率は63%だそうです。一方で、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、高校三年生のアメリカ人の平均バージン率は53% (2003年)とのこと。たしかにMIT生はバージンが多いようですが、そこまで大きな差でもありません。してないわけでは決してないぞ、というのが、学生新聞の主張です。
アメリカではキリスト教の影響が強いためか、結婚までセックスはしないというポリシーを持つ人が多くいます。未経験者のうち、男性の23%、女性の39%は、できないからしていないのではなく、しないと決めているからしていないのだそうです。本音の人、負け惜しみの人、両方の人、きっと色々でしょう。
ちなみに、MITの学生の15%がアナル・セックスの経験があるそうですが、そのうち2.5%の人は、依然自分はバージンだと考えているそうです。つまり彼らは、アナル・セックスはセックスではないと定義しているのです。なんだか屁理屈っぽい純潔の守り方ですね。

学科別、寮別の傾向
専攻によって、バージン率に明らかな傾向があるようです。経験豊かな学科ベスト3は、政治科学科(9.9%がバージン)、経営学科(27.5%)、地球大気惑星科学科(28.3%)。一方、20年物の未開封ボトルが多く蓄えられている学科ベスト3は、化学科(48.2%)、人文学科(45.7%)生物工学科(45.4%)。トップ3を見れば文系のほうが経験豊かなのだと取れますが、一方で人文学科が純潔第二位に入っているあたり、傾向が読めません。
学科以上に強い傾向が現れるのが、住んでいる寮ごとの統計です。アメリカの大学の学部生はキャンパス内の寮に住むのが一般的で、それぞれの寮には独自の文化、独自の雰囲気があります。「ハリー・ポッター」でもそうですよね。MITには12の学部生寮があり、そのなかで最もはっちゃけているのがSenior Houseで、バージン率は20.4%。一方、最も真面目な人が集まるMcCormick Houseでは、バージン率は驚きの82.4%にも達します。

性的嗜好
87%の学生がストレートで、3.5%が同性愛者、6%がバイセクシャルだそうです。僕の周りにもゲイの友達が二人います。アメリカの中でもリベラルなボストンでは、同性愛者は堂々としています。自分の性的趣向を公表することをいとわず、パーティーにも同性のパートナーを連れてきて、平然とした顔で”This is my boyfriend”などと紹介します。
13%の人が、同性とのセックスの経験があるそうです。性別での内訳は、男性が10%に対し、女性が16%。女性のほうが同性セックスに積極的のようです。Comparative Media Study (比較メディア学?)学科では、なんと42%の学生が同性セックスの経験があるそうな。メディアは前衛的で芸術家肌の人が多そうなイメージがあるので、なんとなく納得です。
How? Why?
66%の男女が、セックスの質に満足しているそうです。「なぜセックスをするのか」理由を尋ねたところ、92%が「自分の満足のため」、77%が「パートナーと親密な関係を築くため」、そして16%が「嫌なことを忘れるため」と答えたそうです。MITは授業も研究もタフで、精神的負担が大きく、鬱病になる人はもちろん、自殺してしまう人も毎年のようにいます。ガス抜きは重要ですよね。

その他もろもろ
この号の特集には、統計だけではなく、MITの性に関する様々な記事が並んでおりました。性感染症の予防に関する真面目な記事から、「わたしの初体験」を語る投書コーナー、ポルノ映画、レイプを防ぐ方法からオモチャの紹介まで。全紙面がPDFで閲覧できるので、興味がある方はぜひ見てみてください。
オモチャ紹介のコーナーの書き出しがいかにもMITっぽくて面白かったので、以下に翻訳します。
MITの必修科目である物理を習った人なら皆、摩擦は運動の敵であることを知っている。摩擦は常に動きに抵抗し、性交のように二つの物体が接触するときには必ず摩擦が発生する。ある程度の摩擦は良いものだが、強すぎる摩擦は辛い経験となる・・・
うむ、セックスも物理学の問題として扱っているようでは、MIT生のバージン率が全国平均より高いのも頷けますね。
最後に、「私の初体験」に寄せられた投書をいくつか翻訳したいと思います。
- モーテルに彼女を連れ込み、二回して、帰った。
- SUVの前部座席で、デブ男と。
- 私の初体験は結婚の後でした。意味のあるものにしたかったからです。
- 泥酔して何も覚えていない。
- ボーリングの初体験のことだよね?え、違うって?えっと、気にしないでくれ!
4 thoughts on “MIT生の性生活”
何事にも徹底したいよね。
オレ、こういう文化、好き。
非常に興味深く読ませていただきました(笑)
Big Bang Theoryをメキシコで毎日観ていて、理系の天才たちの私生活の実際が、どの程度このドラマに近いのか気になっていたので、個人的にタイムリーな話題でした。
それにしても、MITにも文系の学科があるんですね?そのことも初めて知りました・・反省。
愛さ