少し前のニュースになるが、「宇宙基本法」が衆議院を通過した。最大の論点はもちろん、この法律によって自衛隊が偵察衛星を持つことが可能になる点だ。
もし僕が国会に議席を持っていたならば、すっきりしない気持ちながら、これに賛成票を投じると思う。
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今や日本の新聞の社説をアメリカからオンラインで見れる便利な時代なのだが、やはり、という感じで、読売新聞はこの法案に諸手を挙げて賛成、一方の朝日新聞は法案の内容から議決方法まで言葉を尽くして嫌悪感を表明している。日本という国が抱えるジレンマをよく表していると思う。
宇宙工学を学ぶ僕にとって、想いは複雑だ。世界のほとんどの国が宇宙開発を軍事と表裏一体で進める中にあって、日本の宇宙開発が(少なくとも表面上は)軍事と切り離されて発展したことは、日本の誇りであった。それがこうも軽々しく覆されるのは、今まで守り抜いてきた貞操が強引に破られるような気分であり、感情的には非常に受け入れ難い。日本のエンジニアの多くも、恐らく同じ思いだろう。
一方で、感情を排して考えれば、日本の「軍事アレルギー」は少々行き過ぎている感があるように思う。もちろん僕は、日本が再び軍国主義に走るのを見たくはない。しかしそれと同時に、北朝鮮のミサイルが東京を瓦礫の山にするのも決して見たくはない。
1998年にテポドンが日本上空を通過した事件を、忘れた人はいないだろう。脅威は現実に存在するのだ。宇宙からの目があれば、ミサイルが日本に向けて発射される前に、その兆候を察知できる。また、偵察衛星は戦闘機や軍艦とは違い、直接人を殺め、他国を攻撃する能力はない。日本が衛星を対外侵略の支援に用いることも、ないと信じる。純粋に日本の安全を守るため、東京にミサイルが降るのを防ぐためのものならば、反対する理由は薄いのではなかろうか。
とはいえ、国同士が疑念の目で宇宙からお互いを監視し合わなければならない世の中であるのは、なんとも悲しいことだ。脅威ではなく信頼によって世界に平和がもたらされる時代が一刻も早く来ることを、ただただ望むばかりである。
4 thoughts on “宇宙基本法を考える”
『軍事アレルギー』確かに度が過ぎてるよね。
でも、ご高齢のじいちゃん方がひしめき合って仕切ってる日本の国会では
一度軍事色が出始めると歯止めが利かないような気も・・・
なんなんだろね、あの国会高齢化は。。。
時代錯誤甚だしい思想のおじいちゃん満載だもん。
めい>俺はどちらかというと、保守的なおじいちゃん議員よりも、最近インターネットに溢れる安易な韓国・中国バッシング(と、あのタカ派の東京都知事)の方が気になるかな。
保守的ならいいけど、軍国主義のおじいちゃんわんさかいるじゃん。
都知事たしかに凄いよねぇ。
まぁ、さっさと事が進むっていう点では良いと思うけど、
都知事止まりで活躍してもらっててちょうど良いという感じ。
バッシングかぁ・・。
手軽に情報が手に入る時代になったけど、
情報の真偽にまで、頭回さなくなっちゃったよね。
めい>お、ごめん、コメントに気付かなかったよ。そうだね、みのもんたの無思慮なコメントを無批判に受け入れて世論が形成されて、それが「国民の声」というのでは、先が思いやられるよ。