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ペルセウス座流星群/夜にお化けが見えた頃

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ロサンゼルスから砂漠まで2時間ドライブしてペルセウス座流星群を見に行った。みーちゃんの流れ星を見たいという願いを叶えるためだ。

どうして流れ星かというとアンパンマンの影響である。世の2歳児の例に漏れずみーちゃんはアンパンマンに夢中だ。水筒や食器からパンツや便座までアンパンマン尽くし。アメリカの保育園でも日本語でアンパンマンの歌を熱唱し皆をポカーンとさせているらしい。僕も30年前にお世話になったのだが、クリームパンダだのロールパンナだのナガネギマンだのとキャラクターが無秩序に増殖している。そんな新キャラのひとつが、みーちゃんの絵本に登場する「ねがいぼしさん」「かなえぼしさん」である。流れ星の擬人化キャラで、「願いがあるときねがいぼし、叶えてあげるわかなえぼし」と言いながら飛ぶ。七夕の夜、子供達の願いを叶えるため町へやってくるが、ドキンちゃんにそそのかされたバイキンマンによって捕らえられる。危機一髪でアンパンマンが助けに来て、アンパンチでバイバイキーンというお決まりのストーリーである。

「ポチ(小野家の車の名前)に乗って、とおぉぉぉぉくに行くと、ねがいぼしさん、かなえぼしさんに会えるよ」と僕が言うと、

「キャハハ、ヤッタァ!」とミーちゃん。

そんな経緯でアンパンマン・マーチを無限ループしながら2時間運転し着いたのがジョシュア・ツリー国立公園。ジョシュア・ツリーとは制服を着崩した高校生を思わせる自由な格好の木で、それが奇岩の並ぶ砂漠にウニョウニョと生えている。他の子連れ二家族とAirBnBで一軒家を借り、みんなでハイキングをしたりバーベキューをしたりしながら夜を待った。

夜空は期待通りの素晴らしさだった。無数の星が咲き乱れる野を天の川が滔々と流れ、その流れを跨ぐ黄道を金星、木星、土星、火星が一列に行進していた。

「トゥインクル・トゥインクルいっぱいだねぇ!」

とみーちゃんも大喜びだった。

10時頃、ペルセウス座が昇り、流れ星が流れ出した。流れ星は空のどこに現れるかわからない。輝くのは1秒あるかないか。見つけるコツは、気長に待つことである。楽な姿勢で空を見上げ、できるだけ広い範囲を視野に収めて、瞬きせずに闇を見つめ続けることである。

ところが。それがミーちゃんにはできなかった。トゥインクル・トゥインクルを少し見るだけならば楽しいのだが、長く見ていると怖くなってしまうらしい。僕の胸に顔を埋めて泣き出してしまった。

「怖くないよ、見ていてごらん、ねがいぼしさん、かなえぼしさんに会えるよ」

と説得するも効果なし。あんなに楽しみにしていたのに

「ううん、会わなくていい」

とふてくされ、しまいには抱っこのまま寝てしまった。

ミーちゃんをそっとベッドに置きながら思った。僕も昔、夜が怖かったな、と… (つづく)


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Photo credit: Yu Takahashi

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