親からのメール

Posted on Posted in 日々徒然

アメリカで一人暮らしをするようになって以来、親との連絡手段は専らEメールになった。手軽でお金もかからないし、時差を気にする必要もない。便利な時代だ。

父親はパソコンからメールを送ってくる。普段は僕を呼び捨てにしているのに、メールだとなぜか「雅裕君」と呼ぶのが若干気味悪い。文体も「です・ます調」だ。昭和人間にとっては、メールを書く時も手紙をしたためる気分なのだろう。父が正座してパソコンに向かっているような気がして、笑ってしまう。

一方、「パソコン」と聞くだけで眩暈がする機械音痴の母親は、携帯電話からメールを寄こしてくる。それでも、母が携帯電話で漢字を打てるというだけで、僕にとってはこの上ない驚きだった。母は父のように堅苦しい文体は使わないが、聞くところによると、一通のメールを一時間もかけて打つそうだ。母が正座して携帯電話と格闘しているような気がして、可笑しい。

頻度はおおよそ週に一度。内容は様々だが、要約すれば、親が「元気か」と聞き、僕が「元気だよ」と答えるのがパターン。非常に健全な親子会話である。

先週、珍しく父親が電話を寄こしてきた。彼は出張でフロリダに来ていたのだが、同じ国といえどもボストンとフロリダでは気軽に会いに行く距離ではない。それでも声くらいは聞いておこうと思って、電話をしたようだ。

しかし。電話をくれたこと自体は嬉しいのだが、御年六十一の早起きおじさんは、朝っぱらの八時半に電話を鳴らしてくるのである。遅寝遅起きが文化のMITでは、八時半は日の出前に等しい。当然、僕は寝ていた。目覚ましを止める感覚でふらふらと電話を取ると、久々に息子の声が聞けて嬉しい父親が、受話器の向こうからハイテンションで喋りまくってくる。悪いけど僕にはそれに付き合う元気はない。脳は完全に寝ていたから、脊髄反射で適当に受け流し、電話が切れたら即ベッドに戻って二度寝した。

しかるに。僕の寝ぼけた声を、早起きおじさんは「元気がない」と勘違いしたらしい。彼は母親に「雅裕の声が元気なかった」と報告した。それを聞いた心配性の母親が、早速メールを寄こしてきた。

母のメール:

ボストンは寒波でとても寒いんだって?お父さんがアメリカで雅裕と電話したとき 雅裕の声が元気なかったって言ってるので 気になってます。ちゃんと食事して 具合いが悪ければ お医者さんに 行ってください。(中略)どうあれ 健康でいることです。では

僕の返信:

違うよ…。あの早起きおじさん、朝一番に電話してくるんだもん…。寝ているところを電話で叩き起こされた訳です。眠たくてたまらなかった。元気な筈がない。電話が終わった後は即ベッドに戻って二度寝したよ。早起きおじさんに、電話する時間を考えろと叱っておいて(笑)

早とちりの父親心配性の母親。困ったカップルである。そんな二人の歳を足せば間もなく百二十。息子の心配ばかりしていないで、自分の身体に気を遣い、ボケずに長生きして欲しいものだ。

[追記] このブログを読んだ父親からメールが来た。

ひとつ言い訳すると、9時に教授と約束していたので、8時半はぎりぎりだったのですよ。ちなみに5時から起きていました。

約束の後に電話しろって。。。そして相変わらずのスーパー早起き(笑)

5 thoughts on “親からのメール

  1. ほのぼのするね。このやりとり。
    心配してくれる人が居るって、とっても嬉しいことなんだよね。

  2. あまりの微笑ましさに爆笑しました。親には世話になりっぱなしで悩むことも多い日々ですが、なんだか元気が出ました。
    そうやって子供の冒険を見守るのが、親御さんの張り合いになってるんだと思いますよ。と、自分に言い聞かせる。

  3. めい>うん、なんだかんだで、とてもいい親です。

    megumi>というより、俺と妹にガミガミ煩く言うのが張り合いだったみたいね(笑)だから俺が家を出て、張り合いが半減してしまったみたい。

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