コスタリカ・ニカラグア (1) 適当旅行のススメ

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適当人間には適当人間なりの、旅の美学、哲学がある。

出発前から分刻みで予定が決まっている旅なんて面白くない。スケジュールを正確に消化し、目的通りの写真を撮るだけが旅ではない。冷房の効いた大型バスで日本の快適さを持ち運びながら、ガラス越しに外国を見下ろすのが旅ではない。

現在地を見失って、日本語も英語も通じなくて、路頭に迷うのが旅だ。その晩を過ごす宿が見つからなくて、通りがかった人に助けられるのが旅だ。わけの分からん物を食べて、吐き戻して現地人に笑われるのが旅だ。クッションのないバスの座席に長時間揺られたお尻の痛み、重いバッグを背負って歩き回った足の疲れ、言葉が通じないのに酒を飲み交わし歌って騒いで何故か心が通じた瞬間、日本の位置を説明するためにレシートの裏に描いた下手な世界地図、そんなものが旅なのだ。

適当旅行の適当ないきさつ

そもそも、今回の旅の行き先を決めたのは、出発の4日前でした。友人から電話があり、「コスタリカなんてどう?」「おう、いいねえ。」そんな経緯で行き先はあっさり決定。その後、数時間で航空券の予約が完了。コスタリカの首都はSan Joséであることを知ったのも、その時でした。

一日目 ボストン→San José

朝6時にボストンを出発。友人は前日に飲んでいたとかで徹夜、僕も前夜のバスケ観戦から帰って旅行の準備を始めたので、睡眠は3時間。お互いにフラフラの状態で飛行機に乗り込み、疲れ切った体でSan Joséに到着。されども熱帯の輝く太陽を見てテンションは急上昇。カラ元気とはまさにこのことです。

初日の宿泊は、友人がネットで見つけた安宿に「決めて」いたのですが、その宿への道案内が「サバナ・ノルテ、レストラン『チコテ』の近く」という至極適当なものしかありませんでした。まずもってサバナ・ノルテってどこだ?「チコテ」なんて地図に載ってないぞ?「近く」って、情報量が少なすぎだろ。

「まあきっと見つかるだろう」と根拠のない期待をもとにサーチ開始。散々歩き回り、あらゆる通行人に聞きまくって、なんとか「チコテ」までは辿り着けたのですが、目的の宿には辿り着けず、連絡もつかず。結局、近くに別の安宿を見つけたものの、重い荷物に睡眠不足で1時間も歩き回った後では、疲労はマックス、テンションはどん底。なんとか気力を回復させるため、旅行初日から日本食レストランに駆け込んでしまった、しょうもない二人でした。


(↑ San Joséの街角。誰某か曰く、コスタリカは「世界三大美人が多い国」だそうな。)

二日目 San Jose→La Fortuna

当日の予定は当日に決めるのが、適当旅行の哲学その一。なんて偉そうなことを言って、本当は前日に疲れきって、翌日の予定も決める間もなく寝てしまっただけなのですが…。ガイドブックを一通り眺め、火山と温泉と熱帯雨林のあるメジャー観光地、La Fortunaに向かうことに決定。

適当旅行の哲学その二は、「計画性のなさは行動の早さで補え」。そんなわけで、行き先を決めたらすぐ出発、通勤客たちに混じって路線バスに乗り、朝の仕入れで賑わう市場を通り抜け、相変わらず通行人に道を聞きまくりながら、長距離バスターミナルに到着したのが午前8時でした。

切符を失くし、危うく途中の街に置いてきぼりにされつつも、人の温かさに支えられ、無事にLa Fortunaに到着。さすがメジャー観光地だけあって、熱帯雨林ツアーはなかなか面白かった。「生き物ウルルン紀行」的なTV番組に頻出のハキリアリ(葉っぱを切って巣に持ち帰って、キノコを育てて食べる蟻)なんかも見ましたよ。悪天候でアレナル火山はお隠れになっていたものの、帰り道に温泉に立ち寄り、満足のゆく一日の締め。


(左:何かしらんの猿、右:ハキリアリ)

この日の晩に泊まったのは典型的なバックパッカー宿でした。休暇シーズンでもないのに悠長にバックパック旅行をしている世界各国代表の適当人間達が、酒の瓶を囲み、もうじき戻らなくてはいけない仕事への文句を垂れながら、自分の国の自慢話をしている。旅の武勇伝を競い、「結局、女とは・・・」と虚勢を張っては、世界平和について持論を展開する。

きっと人生を消費するばかりではいけないのだけれども、先物に投資してばかりでも空しいよね。せめて酒の瓶が空になるまでの時間は、その場限りの笑いと両替して、明日に持ち越さずに使いきってしまおう。そんな旅の夜の時間は、額面通りの価値を伴って、相場を読むのに疲れた僕の心を、豊かに緩やかに流れてゆきます。

(たぶん続く)

3 thoughts on “コスタリカ・ニカラグア (1) 適当旅行のススメ

  1. はじめまして。「公募ガイド」という雑誌で緒野さんを知りました。緒野さんのコメントの中に工学と文学の「二足のわらじを履いて」とあり、私も書家とwebデザイナーという「二足のわらじ」を履いて歩んでいますので、好感が持てたといいましょうか、同年代で頑張ってらっしゃる方がいてとても励みになったとでもいいましょうか、とにかくとても嬉しい気持ちになりました。

  2. saekoさん>コメントありがとうございます。書家とwebデザイナーとはカッコいいですね!僕は字も下手ならばデザインセンスもないので、いつかご教授願いたい。
    お互い頑張りましょう!

  3. わたくしなんかでよろしければ(笑)まだまだ勉強が足りないですけど(泣)東京で個展を1度しましたので、今度は海外で行う事ができたらいいな?なんて思っています。夢物語りですけどね!文字もセンスも意識をしていれば、きっと上手になりますよ!いい物を沢山観たり感じたりしていれば、自然とセンスは養われていくと思います。きっと!世界の色々な箇所に旅に行かれているみたいで、とっても羨ましいです!世界一周してみたいです、私の夢の一つです。

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